「おととい」と「しあわせ」

オトトイ 「ミカ!」

「おととい見つけたから、オトトイ。それでええわ。」
「オトトイ?なんやその名前。かわいそうやん、そんな変な名前付けたら」
「でも、似合うやろ。すぐに忘れてしまいそうな名前やからええねん。この子によお似合っているやんか」
「せやろか?オトトイなんて、ぜったいに忘れそうにないけどな」
「そう?アタシは、きのうより昔のことなんてすぐ忘れてまうけど?」
「それは、本物のおとといやろ。名前やなくて、二日前のおととい。変なのは名前のオトトイ」

シアワセ 「ミカ×ミカ!」

「後で本当に探してくるよ」
「かまへんよ、そんなんせんで。シアワセ、ほんますぐ逃げてまうから。クセやねん。目をはなしたら、すぐ逃げていきよる」
そのときもちろん、ミカは鳥のことを言っていたわけだ。なのにぼくには、シアワセじゃなくて、しあわせのことみたいに思えた。ややこしいけど、そう。ハッピーなんてすぐ終わってしまうって、ミカが言っているように聞こえた。まるで、大人みたいな言いかたで。

伊藤たかみ著「ミカ!」と「ミカ×ミカ!」という本を読みました。

双子の葉山ユウスケと葉山ミカコのまわりで起きたちょっとした出来事をユウスケの視点で書き綴られた本で「ミカ!」は小学校のとき、「ミカ×ミカ!」は中学生のときの話。
オトトイはモグラのようなおかしな生き物。シアワセは青いセキセイインコ
いいおじさんになってしまったけれど、いったい子供と大人って何が違うんだろうと思ったりしてただ日々を過ごしていくことをなんとなく続けていくのでした。

ミカ! (文春文庫)

ミカ! (文春文庫)

ミカ×ミカ! (文春文庫)

ミカ×ミカ! (文春文庫)