クリスマスのおはなし


クリスマスの朝のきらきらした光の中で
鳥たちは大きなグスグスした音で目を覚ましました。

「あれは熊だ。」クロウタドリは緊張してさえずりました。
「巨大なハリネズミかもしれない。」ミソサザイが跳ね上がり飛び立ちながらさえずりました。
「ゴリラがトフィーを食べているのかも。」青いシジュウカラが興奮で浮つきながらクスクス笑いました。
「話にならない!」コマドリが叫びました。「みんな全く見当違い。これは僕の木!僕には分かるんだ。」
「えっと、それってどういうこと?」シジュウカラが尋ねました。
だけど、コマドリはすでに飛び去っていってしまいました。
コマドリは木の中を矢のようにすり抜け、木の枝のふしや雪で覆われた木の天辺を通り抜けその音を追いかけました。
ついにコマドリはふたつの松の木の間の赤く輝くものを見つけました。
「これは何だろう?」コマドリは言いました。
「新入りのコマドリ?何が僕の木の中で騒ぎ立てているのさ?」コマドリは赤い侵入者のもとへ向かい飛びつくと心臓はドキドキと鼓動していました。
木の中を突進して、突然コマドリはたくさんの松の木の葉の針の開いている場所に飛び込みました。コマドリは活気のない雪で覆われた小さなお家のある空き地に辿り着きました。
新入りのコマドリは見つかりませんでしたが、そこには憂うつな顔して煙突の上に座っている真っ赤な帽子をかぶったサンタクロースがいました。コマドリは何でそんなに悲しそうな顔しているのか尋ねるために彼の上に飛び立ちました。
「盗まれてしまった!」サンタは口ひげの中の鼻をすすりながら泣いていました。「子供たちへのプレゼント、全部消えてしまった!そりを雨どいに括り付けていたんだ。ただめがねを拭き取るために止まっただけなんだ。」サンタはさらに大きな音で鼻をすすり鳴らした。
「振り返ったらプレゼントは消えていたんだ!盗まれたんだ!訊ねるお家のメモまでも盗まれたのさ。」
コマドリは真剣な顔つきになりました。
「それほど遠くには行っていないはずさ。」コマドリはそう言って、手がかりがないか庭の周りを調べはじめました。

コマドリはにんじんの鼻と石炭の目の雪だるまを調べました。雪だるまの帽子の上にとまって帽子の縁を飛び跳ねながら叫びました。「ねえ、君!それとってもステキなマフラーだね。ちょうど今、そりから取ってマフラーを巻きつけたのかい?」
「なんだって!」雪だるまはびっくりして、動揺しながら不満そうに声を上げました。雪だるまはあまりのショックで石炭のボタンをひとつなくして、他にも何かを失ってしまったようでした。コマドリはとても優しそうな雪だるまが物を盗んだりするようなことはしないだろうとすぐに分かりました。
「えっと、君は荷物を運んでいった誰かを見なかったかい?」コマドリは申し訳なさそうに尋ねました。雪だるまはとても心配そうに言いました。「僕は誰かを見た気がする...だけど、勘違いかもしれないよ!」
「誰を見たのか分かるかい?」コマドリはさらに尋ねました。
「それは僕の友達、シカだよ!」雪だるまは泣きながら叫びました。
「シカがプレゼントを持っていったんだ。」

「それは本当さ。」空き地の端から声が届きました。
「僕が取ったのさ。」シカは恥ずかしくて大きな茶色の目を伏せて踏み出しました。
「僕はサンタクロースと名誉あるトナカイとそりを見つけたのさ。僕はただトナカイのようになりたかったんだ。そしてプレゼントを届ける手伝いをしたかったんだ。」
コマドリは考えました。そして尋ねました。「もしそれが本当なら、プレゼントはどこにあるのさ?」
「僕に付いて来てよ。」シカはそう答えて早足でそこにあるお家に向かいました。雪の上、シカの足取りは静かでした。サンタはそのお家の窓を覗き込もうとやってきました。そしてコマドリも飛び立ち窓を覗き見るために窓枠にちょこんととまりました。

部屋はしっかりと詰め込まれて整然と積み上げられた薪の火で照らされて影が浮かびあがっていました。その火が揺れて大きなクリスマスツリーをキラキラ照らしていました。その枝はキラキラした飾り付けで覆われていて、天辺の銀紙の星が天井まで届いていました。
木で出来た小人たちがすべての枝から覗いていました。チョコレートの金貨が袋に入って掛けてありました。そしていくつもの色で輝いていました。クリスマスツリーの下には行方不明のプレゼントがちゃんとキレイに並んでいました。コマドリはシカの角の一本を羽でなでながら言いました。
「僕は君が本当に手伝いたかったんだって分かるよ。とってもいい感じだね。だけど最初にサンタさんに尋ねてみるべきだったんだよ。」
「サンタさん、ごめんなさい。」シカは言いました。
「プレゼントが盗まれたんじゃないって分かって良かったよ。それに君は私の仕事をちゃんとやり遂げてくれたんだ!」サンタはにっこりと笑いました。
サンタは雪だるまの胸の石炭のボタンをもとに戻して、本当にとても幸せそうでした。サンタはコマドリの羽を取って握手を交わし、手伝ってくれたことに感謝をしました。それからサンタはシカに向かってほほえみながら、そりに飛び乗りました。
「えっと、来年はきっと手伝ってもらわなきゃね。君はもうプレゼントを届けるコツが分かっているようだからね。でも君はトナカイじゃないからなぁ。君は僕と一緒にそりに乗るべきだね!」

おしまい

注)これはROYAL MAIL CHRISTMAS STAMPS 2006の切手シートに載っていたおはなしを和訳したものです。