ドイツ日記 8月25日 晴れ

peanut_butter2007-09-04

夜中に同じ部屋の若者は部屋を出たり入ったりごそごそ、やっと眠りに入ったかと思うと寝息がうるさかった。僕はそれでもちゃんとは眠ったのだけれど、途中途中でなんだか目が覚めてしまった。帰りの飛行機は朝の便だった。だから寝過ごしてはならないと思ってだいぶ早くに起きた。シャワーを浴びて部屋に戻ると全ての荷物を持ってロビーに行ってチェックアウトを済ました。荷物をロビーでまとめてそれを担いでバス乗り場に向かった。まだ薄暗い時間だったけど朝早い空気は嫌いじゃない。テーゲル空港直行のバスに乗って空港まで向かった。飛行機の出発時間の3時間も前についてしまった。空港にはそんなにゆっくりできる椅子なんかが置いてなかった。ゆっくり朝ごはんを食べるのもいいなと思ったけれど手持ちのお金は5ユーロとちょっとぐらいしかなくて、しょうがないから外にあったベンチに座って、昨日スーパーで間違って買った炭酸のミネラルウォーターをやっぱりおいしくないなあと思いながら飲んで、音楽を聴きながら本を読んだりした。ふと気付くとまだ少し薄暗い景色がちょっとづつ明るくなっていって太陽が徐々に登っていく景色が本当にいい感じだったのでこれで旅が終わってしまうのがもったいないというか、ここからもっと違うところに行きたい気分だった。飛行機の搭乗手続の時間が近づくと日本人の団体客が現れて、僕の旅気分はちょっとづつ覚めていってしまった。僕は飛行機に乗るのは結構好きで長時間の飛行機も別に気にならない。でも行きの飛行機はともかく帰りの飛行機で日本人の団体客を目にするとわくわく感がちょっと覚めてしまう。なんだよ、まだここは異国なんだぜ、ちぇって思う。自分だって同じ日本の観光客に過ぎないというのに。トランジットでまずウィーンへの飛行機に乗ることになっていた。行きで乗った飛行機より小さ目の飛行機で飛行機に乗る場所までリムジンバスに乗っていった。飛行機に乗り込むと僕の座る席の隣は運がいいことに日本人の観光客ではなく、高校生ぐらいに見える外国人の女の子が座っていた。添乗員さんが、あなたはドイツ語、やっぱり英語よねって言って機内での緊急時の避難に関する説明書を読んでおいてねって言った。隣の女の子はドイツ語ですって言って同じように添乗員さんが説明書を取り出していった。何で僕らだけそんなこと言っていくのかなあって不思議に思っていると、とてもにこやかな顔で女の子が話しかけてきた。「ここ、ほら非常扉がついてるのよ。こんな扉開けるの大変。あなたも見ておいてね。」「あーそうか、それで彼女は僕らに説明していったんだね。」「そうよ。」そして1時間程度の飛行機は少し楽しい時間となった。「ねえ、何のためにウィーンへ行くの?」「僕は日本から来たんだよ。今はサマーホリディ。フランクフルトからケルンに行って、ボンに行って、アーセンに行って、ベルリンに行ってそれでこれから日本へ帰るんだ。」「そう、日本まではどのくらいかかるの?」「だいたい13時間かな。(適当)」「まだまだ長い時間かかるのね。」「君はどこから来たの。」「私はドイツ、ベルリンよ。」「君は学生さん?」「違うわ。働いているのよ。」「へー、君ってとっても若く見えるんだもん。」「うん。自分でも分かっているわよ。まあ、ありがとうね。」「何をしているの?」「マネージメントの仕事。」「じゃあ、これから出張なの?」「そうよ。」「ベルリンはどうだった。」「大きな都市でびっくりしたよ。いろいろ見てきた。戦争のときに人が住んでた地下にも行った。えーとそれから、、うーん、ごめんね。英語もあんまりうまく話せないよ。」「全然気にすることないわ。」「ドイツ語も英語もそんなに分からないけど、日本語だったらペラペラさ。(本当か?)」やった笑った。「そうね、私も日本語は全然わかんない。でもドイツ語だったらうまく話せるわ。」「そうだね。じゃあオーストリアもドイツ語なの。」「そうよ。ドイツとオーストリアとスイスでドイツ語は使われているのよ。」「へー本当。」僕は日本から持っていっていたガムをあげた。「ありがとう。ねえ、ここに何て書いてあるの。」そこに書いてあったのは、かんだあとは紙に包んでくずかごへっていうような日本語だった。「アフター チュー、、、えっとガムえっとカバー ペーパー スロウ トラッシュ ボックス??えっと、ごめん。うまく訳せないよ。」「いいのよ、気にしないで。」あーダメダメだ。ウィーンに近づくと窓の外に見える森を指して「ほら見てウィーンの森は有名なのよ。」「そうか、でも僕はウィーンには空港の中で2時間程度過ごすだけだよ。」また笑った。「そうよね。残念ね。」そしてウィーンに着く。飛行機を降りてまたリムジンバスに乗って空港の建物へ行く。隣だった女の子とはバスの中では会話をしなかったけど目が合うたびにニコニコしていた。それで空港の建物に着いてそれぞれ違うほうへ歩いていくときに僕がここだけドイツ語でチュース(さようなら)って言うと女の子はニコニコしながら「気をつけて、楽しい旅を。」って言って去っていった。楽しかったなあ、そういえば誰かに似ているなあって思ってお別れした。ウィーンの空港では次の飛行機まで2時間くらいの時間があった。僕は残りの5ユーロ札でスープとパンを食べてランチにした。帰りの日本までの飛行機はやっぱり隣は日本人のカップルでまた少し旅気分が覚めてしまって日本に帰るんだなあって名残惜しく感じてしまった。こんなふうだからまたきっと旅にでることになるんだろうなあ。今回の旅は女の子といろいろ話したから楽しかったなあ。それからドイツの人たちはなんだか安心する人たちばかりだったなあ。とてもよかったなあ。
そして日本に帰ってきた。日曜日の朝に帰ってきて翌日からまた仕事に出かけた。家でテレビを見ていて思った。帰りのウィーンまでの飛行機で出会った女の子が似ていたのはテイジンのコマーシャルに出ているエコ サークル リサイクルのカトリーヌちゃんだった。そして火曜日にベルリンにいた自分からの絵葉書が届いていた。なんだかすぐ届いちゃうものなんだ。そこに貼られている切手もスタンプも自分へのいい思い出になるよなあ。自分へ送った絵葉書はHERMAN DUNEのライブ会場でもらった絵葉書だ。シングル曲の"I wish that I could see you soon"という歌のジャケットを絵葉書にしたものだ。その歌を利用した文面を書けるようになっていてI wish that I could see you soon because..のあとの文章を書き込む作りになっている。だからその絵葉書に書かれた文章はこうだ。
君とすぐ会えることを望んでいるだって!なんてバカなこと だってこれは自分への手紙だぞ。
ベルリンにて 2003.08.23
うわっ、いけない。何で2003年なんて書いているんだ。修正液で修正しなくちゃ。