アイルランド旅行記2

0825
朝、6時に目を覚ます。シャワーを浴びたりして7時頃に散歩に出掛けた。目指すはドン・エンガス、海面から90mの高さの断崖だ。地図で何となく距離を推定すると片道10km弱はありそうだった。まあでも、一本道のようだしすぐ行けるだろうと軽い気持ちだった。9時から10時のホステルの朝食ちゃんと食べれるように帰れるかなあなんて思いながら。自転車借りれたら良かったけれど、お昼のフェリーではゴールウェイに戻らなくちゃだし、とにかくドン・エンガスには行こうと早起きしたのだ。天気が良くてとても良かった。広い空や海、緑やいろいろな家、牛や羊や山羊や猫たちと出会いながらテクテクと歩く。途中で誰もいない小さな教会をこじ開けて一休みしたりした。朝早くて、歩いている人なんか誰もいなかったけれど、しばらく歩いていくと島の人がいたから、挨拶をして、ドン・エンガスへの道のりを訪ねると、あそこに見えるのがそうさ、15分も歩けば着くよって言われた。でも15分歩いても着かなかった。そういえば前の日もホステルへの道のりも15分歩けば着くって言われたけれど着かなかった。この島の人たちはよっぽど歩くのが早いか15分という言葉を口にするのが癖になっているのかもしれないと思った。
 
 
さらに歩いて行くと海が道路に面する場所までたどり着いて地図を眺めるとドン・エンガスはもうすぐだった。やっとの思いでその看板を見つけると、まだ、小高い丘を登らなければならなかった。そして、そこを登り切ると開けた景色はすごいって思った。一人っきりでこの景色を独り占めしていた。断崖のギリギリまで行くと足がすくんでしまった。ここから飛び降りたらもう死んじゃうだろうなあ、やってみようかな、あっ、いけない、いけない、なんて一人で考えながら、丘を引き返すことにした。丘の中をよく見たらすごく小さな家があった。僕の膝下ぐらいしかないやつ。ここには小人が住んでいるのかも。帰り道、行きと同じ一本道をひたすら歩く。ああ、半分くらい来たかな、でもまだまだ先だな、朝ご飯食べれるかな、車が止まってくれて乗せてくれないかなって思ったら、本当に1台の車が止まって、おじちゃんが、お前、乗ってけよって車に乗せてくれた。どこから来た、えっと、日本から来てこの先のホステルに泊まってるんだ、朝早く起きてドン・エンガスまで歩いてきた帰り道だよ、そうか、遠かったろ、はい、結構歩いたなあ、乗せてくれてありがとう、いや、気にするな、俺はカゴ作りしててね、たまに日本人も手伝いにきてくれるんだよ、ヘー、このフロントミラーにぶら下がっているの、おじちゃん作ったの、そうさ、へー、すごいね、お前の泊まってるホステルはあそこかい、あっ、そうそう、ありがとう、なんて感じであっという間にホステルに着いた。いい人だなあ、僕も人に親切にならないとなあって思った。
 
 
 
 
9時は過ぎていたけれど朝ご飯には間にあった。すでにテーブルについていたパクやリョンや他の宿泊者たちと一緒にパンとコーヒーとミルクの朝食を食べた。ドン・エンガスまで歩いて戻ってきたとおじさんに言うと、今朝かい、すごいね、誰もいなかっただろって言われた。朝ご飯の後荷造りして、ロビーでくつろいでいると、リョンとパクが自転車でドン・エンガスまで行ってくるよって出掛けていった。フランスから来ていた夫婦とその子供3歳くらいの女の子が動き回っているのがとてもかわいくて、おもしろかった。日本から持ってきていた飴、いちごみるくをあげたら喜んで噛んで食べていて、何度もちょうだいってもらいにきたのがおもしろかった。フランス人の家族が馬車に乗ってその場を離れていったのを見送って僕もゆっくりとフェリー乗り場の港へ向かって歩き出した。

12時発のフェリーに乗り込むとフランス人の家族とパクとリョンにまた会った。パクとリョンとはそのままゴールウェイへ向かうバスまで一緒だった。ゴールウェイでは何か予定あるのって聞くと夕方6時のバスでダブリンに戻るけど特に何も予定はないよって言うので、僕は3時の電車でダブリンに戻るけれど昨日はごちそうになっちゃったから、パブで一杯ごちそうするよって言うと、いいよって二人は同意した。昨日行ったパブが気に入ったからそこでいいって、そのお店に入ると店員の女の子が、あらまあ、あなた昨日も来てくれたわよねって僕のこと覚えてた。一緒にビールを一杯づつとフィッシュアンドチップスをシェアして食べた。ダブリンでまた会えないかしらってリョンが言って、都合が合ったらねって答えたら、電話番号を教えてくれて、電話してねと言われる。そしてリョンとパクは電車まで送ってくれてハグして別れた。

電車でダブリンまで戻ってきた。ホステルまで行ってまたチェックイン。落ち着いてから絵はがきを持ってカフェでスープとパンを食べながら自分や両親へ絵はがきを書いた。それからホステルに戻ってシャワーを浴びて、まだ早い時間だったけれどベッドに潜り込んで眠った。