Knock, knock, knockin' on heaven's door

peanut_butter2010-02-12

祝日の日の朝、苦手なタバコの臭いを長い間嗅いでいたせいか頭痛と眠気のなか家に辿り着いた。そのあとは、ただただ、眠っていた。途中お腹が空いたから、お米をといで炊飯器をセットしたことは覚えている。この日で覚えていることはそれだけだ。でも、睡魔が食欲に勝って、炊けたごはんを食べないまま、また眠り続けてしまった。20時間ぐらい寝続けたのだろうか。日が変わってしまった夜明け前に目が覚めた。ぼんやりと雲の上にいるみたいな感覚がした。パソコンを立ち上げて、ボブ・ディランの「天国への扉」を聴いている。
ママ、鉄砲は足下に置いておくよ
もう必要ないからね
長い真っ黒な雲で空が塞がれていく
なんだか、天国への扉を叩き続けてるような、そんな気分だよ

「天国ってどこにあったのかい?」「日本国、中国っていうみたいに、どこかの国だったっけね。」「いや、千代田区あたりにあったんじゃないかって思うんだけどね。」「そうか、探しに行くかね。」「そう簡単に見つからないだろうけどな。」と言って二人のおじさんが銀座駅で地下鉄を降りていった。あとを着いていこうかとちょっと思った。天国を見失ったさえない天使たちだったのか。仕事の打ち合わせを終えた後の移動中、そんな不思議な会話を聞いておかしな気分になった。夜の11時まで仕事をして下北沢のmona recordsに行った。「真夜中の前園直樹グループ」を見るためにだ。前園直樹グループはカバー曲ばかりのうたをギター、ウッドベース、ピアノといった渋くてシンプルなスタイルで演奏するいい感じのユニットだ。そこでピアノを弾くのはピチカート・ファイヴで活動していたの小西康陽さん。ピチカート・ファイヴはずっと活動を追い続けたわけじゃなくて、後期はあんまり聴いてないけれど、デビューのときから「みんな笑った」とか「7時のニュース」といううたを耳にする機会があって、それは今まで聴いたことなかった新鮮なポップスで、ロジャー・ニコルスを知るのはもっと後だけれど、初期の作品が特に好きで聴いていた。前園直樹グループもいい感じでいつか生で聴きたいと思っていたけれど、得意じゃない徹夜までして足を運んだのは京都からやってきた、バンヒロシさんと安藤明子さんに会いに行きたくってしかたなかったんだ。夜中の12時を回って受付で入場しようとしていたらオレンジのボーダーを着て耳を覆うかたちのニット帽を被った姿がとてもよく似合っているいい感じの安藤明子さんが目の前にあらわれた。なんだかホッとした。すぐにバンヒロシさんも見つけて挨拶した。なんだかホッとした。二人がいなかったら真夜中のパーティなんてとても心細くて、居れなくって逃げ出していたことだろう。まるでmizucaで和んでいるような気分でバンさんから安藤明子さんの先日京都であったレコ発の拾得ライブがどれだけ素晴らしかったかを嬉しそうに話してくれるのを聞いたりしてその場所にいなかったことは残念だけれど、僕もとてもうれしくなった。バンさんのレコードを買ってサインをもらった。前園直樹グループは気取ったライブをするんじゃないかと勝手にイメージしていたけれど、全然そんなことなくて、気さくでゆるくてサービス精神溢れた楽しい演奏だった。初めて見た小西康陽さんはMCもおもしろくて、ピアノだけでなく力強く声を張り上げてコーラスをしていたりしていいなあと思った。シンガーソングライターでもある前園直樹さんの歌声もとてもいい。ベースの羽立さんもMCのタイミングがちょうどいい感じでたのしい人だった。みなさんのサインももらえて嬉しかった。初めて見るバンヒロシさんのライブは短い時間だったけれど、フロアがパッと賑やかに明るくなるそんな感じで楽しくてイカしてた。バックトラックを流して歌っていたけれど、前にジョージ・ハリソンのこと話してたら、バンさんがエレキギターで「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」をさっと爪弾いてちょっと歌ってくれたことがあって印象に残ってるんだけれど、今度弾き語りのライブとかも見てみたいと思った。そんなバンさんのあたたかなまなざしでグッとくる紹介のあと、安藤明子さんが登場。一番前でそのうたを聴いていた。そのうしろにはたくさんの人がそのうたに耳を傾けていたんだと思う。そんなふうに、きっとこのうたがまたたくさんのところに届いていったんだろう。めずらしく一番最初が「すてきなキス」だった。「トゲトゲ」は初めて聴いたときから何度聴いてもそのたんびにキュンとしてしまう。なんて素敵なんだろう。「あいのうた」の静けさの中にある力強さ、ちょっとひねくれているようで、これほどいろんな複雑な気持ちをそのままにグッとくるうたって他にないと思う。あ、この間聴いたyojikとwandaの「I LOVE YOU」と並んで僕の中では今、とても必要だって思えるラブソングなのだ。長い夜のようであっという間だった。最後のトークセッションで前園直樹グループのイベントがまた6月に開催されると決められていた。東京、京都で2デイズでやるかもというノリだった。バンヒロシさんと安藤明子さんがまた登場するのなら足を運ぶしかないって思ってる。