想いは溶けないね

新幹線はいつも窓際の席に座るんだ。今日も三席ならんだ窓際に座ってた。そうしたら、アパレル関係みたいなスラッとした若くて綺麗な女の子二人組が隣の空席を埋めた。僕はもうすっかりいい中年のおじさんなのに、こういう綺麗なスラッとした女の子を見ていると、まだ中学生みたいな気分で年上のお姉さんだって思ってしまい、ちょっと居心地が悪い。ケラケラ笑い声をあげて会話してるのを耳にしつつ、いいなあ、嫌いじゃない、ドキドキする、だけどちょっと自分向きじゃないのかなって勝手に決めつける。化粧品を取り出して平気に化粧始めるのはちょっといやだけと、香水の匂いはきつくはなくてちょっといい匂い。そうしたら、すこんぶを食べ出して酸っぱい匂いが混じってへんな感じだ。そんななかでタムくんのマンガを読んでた。これちょっと、すごくいいね。誰かに「いい思い」とか、周りのいろんなものや生き物を作り出しているエネルギーのことだとか、その視点に感心しちゃう。楽しみなことで胸がいっぱいだった。おしっこしたいのに、緊張して前を通してもらうのできないでいる。でももうすぐ終着駅だ。
ロマンス タムくんのラブストーリー短編集