月を想う

写真撮影と録音をした。「うた」がまずあって頭に浮かんだ人たちを呼んでみて心地がよいと思う場所に集まってくれた。音が鳴ったとたんにこれでよかったのだとすぐに感じることができた。本当にちょっとした意見交換だけで形が定まって録音は驚くほどにすぐに終わった。そして、どうですかと聞かれたけれど、何にも言葉は浮かばなかった。ただ頷いただけだった。余計なものは何もなかった。4分程度の短い時間の中に、ひとつの命が吹き込まれた。片付けをしたりみんなでお酒を飲んだりして終電は乗り過ごしていつもと違う電車で帰って、いつもより少しだけ多い距離を歩いて帰る。少しだけ曇っていたし、雨にはあたらなかったけれど地面も湿っていたりで月が見えた訳ではない。でも月を想うのだった。ちょっと忘れられない時間だったと思う、大事にしようと思うし、いいものとなるように形にしたい。必要な人のところに「うた」が届いてくれたらいいと思う。