B・O・R・D・E・R

新幹線で東京に戻ってそのまま、サボテン春菜さんの歌を聴きに行きまして、今日は何の日か知ってますか、平和について考える日ですかね、みたいなこと言っていて、みんながひとつでも歌える自分の唄があったならきっともっといい世の中になるかもしれないですねとか、そういうことなら僕もそう思うしそうだったらいいなとかぐるぐると思いを巡らせて、一体今日は何の日なのかな、えーと、何だっけな、9月11日、あー、911、そのことなのかな、記憶なんて簡単にフッと消えちゃうね、いやんなっちゃうね、そうかもう10年近く前のことだったっけな、確かあの日は風邪気味で辛くて早めに仕事を切り上げて乗っていた帰りの地下鉄の中で、久しく会っていなかった知ってる女の子らしい人を見かけて、あれそうかな、あの子かな、違うかな、と声もかけられないまま家についてから、めずらしく苦手な電話をその子にかけてみて、久しぶり、今日さ似てる人を地下鉄で見かけてね、新宿三丁目の辺だけれどさ、もしかしてって思ってね、ああ、それ私だよ、最近仕事転職したの、久しぶりだね、そういえば矢野顕子さんのライブ行きたいの、いっしょに行く、うん、あっ、ちょっとさ、すごいことになってるテレビつけてみて、なにどうしたの?あっ、本当だ、これ今、本当に起こってることだよね、私さ来月あたりニューヨークに旅行に行こうとしてたところなのね、とか話をしながらビルに飛行機が突っ込んでいる光景をリアルタイムでテレビで眺めていたっけなあ、その後、僕はニューヨークのテレビで眺めたそのビルがあった場所に行ったのはアメリカが戦争を始めた次の日だったけなあと、そんなことを自分の中で思い出したりしながら、ライブ会場で会った春菜さんの知り合いの不二家のポコちゃんそっくりな朗読家の玲さんからいただいた抹茶味のミルキーを口の中に放り込んで、まだ暑い日差しを浴びる電車に乗って家に帰ってきました。

昨日は出張先で仕事を終えたあと、とある会議がありまして京都に足を運んだんですね。ボーダーシャツ会議っていうのだったんですけどね、僕はうっかりとギンガムチェックのシャツだったので会議の中にはすんなりとは入れなかったですね。

ボーダーシャツの世界第一人者であるジョナサン氏、今回の京都会議には残念ながら欠席でした。

白熱するボーダーシャツ会議の様子です。
「君のボーダーシャツは白のラインが細くて細かすぎて主張が足りないと思うんだ。」「いや、何でも主張をはっきりした方がいいとか僕はそんなふうには思わないんだ。控えめで繊細な表現の中に実は強さが隠れてるっていうかさ。」「そんなもんかねー、あ、そこの君たちふたりはお揃いだけど、なんかボーダーが擦れてたり不均一なところもあるし、うしろにはボーダーすらないじゃないか。それでボーダーシャツって言えるのかい。」「私たちはね、はっきりした強い気持ちは持っているつもりでも、いつだって曖昧な気持ちの中に生きているの。ときどき自分のことが分からなくなったり、まわりのことが信じられなかったり、そう、ボーダーでいることにすら自信を失うことだってあるわ。ボーダーでいることからもたまには解放されたいってこともね、ほらつまり、ボーダレスっていうやつね。」「ねえ、ボーダレスってなあに?私はよく分かんないわ。」「そこの君は何だってギンガムチェックでのこのこと現れたんだい。」「あ、なんかすみません、うっかりしっちゃって、よくいわれるんですよ僕、おまえつまんないやつだな、空気読めないやつだなとか、またやっちゃったみたいですね。でもギンガムチェックって、ほらもともとボーダーだったかもしれなくて、ボーダーがストライプに出会ったら、ねえ私たちいい感じかもって、私たちはちょっと違う方向に向いていたけど、お互いのこと認めあったのなら、案外ステキなことなのかもとか、それがギンガムチェックなのかもしれないなって思うんです。」
適当に思いつきで言った僕の発言は意外にもちょっと感心されました。参加していたトリ氏が、さっきのなかなかよかったわ、なんて言ってくれて中華料理屋さんの手づくり食べる辣油をくれたのでうれしかったです。

ボーダーシャツの日本第一人者ラヴラヴスパーク氏(中央)、ボーダーシャツを推進するユニット、アントアドアのトリ氏(左)、アン氏(右)
ボーダーシャツ会議を終えてリラックスムードのみなさん。実ににこやかな楽しいみなさんです。みなさん、お疲れさまでした。今度はちゃんとボーダーシャツで行きます。どこかで今度はボーダーシャツ会議を企画したいです。
ボーダーシャツ会議ではとても素敵な発言があふれてましたので議事録をまとめましたので読みたい方は続きをどうぞ。

ほんとは会議なんてしてません。グッとくる歌を聴いただけでした。
ボーダーシャツ会議より
発言者:アントアドア
「歩いている」
魚は泳ぐ
鳥は羽ばたく
僕らは歩いている
簡単なこと 難しいこと 生きていること
君がいることで誰かの涙が
いつか笑顔に変わる
やさしい風 あたたかい日差し
今日も歩いていこう
チョコレートをいっしょに食べよう
きっとステキさ
悲しいところ うれしいところ
少しづつ分けて
君がいることで僕は変わらずに
今日も笑っていられる
やさしい風 あたたかい日差し
今日も歩いていこう
魚は泳ぐ 鳥は羽ばたく
僕らは歩いている
簡単なこと 難しいこと
生きていること
君がいることで誰かの涙が
笑顔に変わる
やさしい風あたたかい日差し
今日も歩いていこう
愛すること 愛されること
生きていること
跳びはねて 寝転がって
今日も生きている
僕は生きている
魚が泳ぐように
鳥が羽ばたくように
僕は歩いている
僕は歩いている
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発言者:ラヴラヴスパーク
「サンキュー」
いつものことだけど そばにいてくれてありがとう
今日みたいに元気のない日は
泣いたり笑ったり そばにいてくれてありがとう
気がつけばいつも一緒だね
そんなふうに思ったよ今さらね
もっと早く言えばよかったな サンキュー
いつものことだけど そばにいてくれてありがとう
耳もとに笑い声聞こえる
褒めたりけなしたり思うままに話そうよ
今日はとてもゆかいな日だね
そんなふうに思ったよ今さらね
もっと早く言えばよかったな サンキュー
そんなふうに思ったよ今さらね
もっと早く言えばよかったな サンキュー